無題

今朝9時ちょうど、
出勤前に
とあるクリニックに電話した

がん治療専門のクリニック
母が肌身離さず持ち読んでいる本の
著者が開業医のクリニック

保険はきかず全て自由診療
治らないがんは無いと言い切る

アロマセラピーやハーブ、東洋医学など
代替医療の知識は多少あるものの
こういう書籍を多数出版する医者に
私は懐疑的である
(問診表を郵送して、院長が目を通し
初診の日時を決める。とのこと。
必ずしも診て「もらえる」とは限らない点で
100%治りそうながんだけを診れば
「治らないがんは無い」といえるんじゃね?

そういう想いが
顔や態度に出ているのであろう
母に泣かれた。
「アンタは私が生きようとすることを
良く思っとらんのんじゃねぇ。
早う死ねばええと思うとるんじゃろう。
邪魔なんじゃね。
私が受けたい治療を受けさしてくれん。
まずは大学病院。まずは緩和ケア。言うて
私は、親身になって一緒に考えてくれる
先生と治したいんよ!
どうしたらええか分からん。
自分では調べる方法が分からんけ
アンタにお願いしとるのに
面倒くさそうに嫌な顔して…」

そんなつもりはなかった
調べてほしいことは
真っ先に調べて問い合わせて来たし
望むことは叶えてあげたい、と
休みの日も出勤前も帰宅後も全部
費やしていた
仕事中だって休憩中だって
片時も母が頭を離れることは、無い

でも。
本当は。
心の奥底で。
母の言う通り。

死んでほしいと思ってるんだと思う
早く、こんな状況が終わればいい
こんな辛い日々、いつ終わるのか知りたい
最後に母とまた暮らせて良かったなと
思うこともあるけれど
いつまで続くのか分からない状態は
とても、とても、こわい
自分の人生が台無しにされる
干渉され続けるのが本当に嫌だ

こんなことを考えながら
クリニックに電話した自分は
どんな顔をしていただろうか
藁にもすがる想いで
電話しているように見えたかな
何としても母を助けたいと必死に願う
僅かな奇跡に賭ける希望を持つ
娘の顔をしていただろうか

無題

9日火曜日、近所の大きな病院に行った
緩和ケア病棟があるとのことで
現状と今後のことについて
話を聞きに行った

端的にいうと、
そこでは主治医になってもらえず
外来で受診するのは可能だが
緊急搬送も
入院も
受け入れられない
とのことだった
(近隣の別の病院を教えてもらったが
果たして受け入れてもらえるかどうか

母は、医者に藁にもすがる思いで
食事療法について質問したのだが
「コレを食べれば治る
アレを控えればガンが消える。
っていう事は一切無い。
色んな本や情報が飛び交うが
結局は万遍なく
様々なモノを摂るのが一番。
食事療法を勧めるクリニックに
行くのならそれは自由ですが」
と医者に言われ
かなりショックを受けていた

自分の心の拠り所にしていた信条を
全くのまやかしだと貶されたような絶望感

「あぁ。私のしていたことは
間違っていたんですね…」
一切口も聞く耳も閉ざしてしまった
(家に帰ってきてから泣いていた
「食事療法が無駄だなんて!酷い!
信じていることをばっさり否定するなんて!
あんなの緩和ケアじゃない!
あんなホモみたいな医者の顔なんか
もう二度と見たくない!!」

気分が悪くなった、と母は席を外したため
私だけが医者の説明を聞いた

・胃の腫瘍が食べ物の通りを悪くしている
・吐き気・むかつきで食欲が無い
・胃から栄養を吸収出来ない
・他の臓器も弱っていく
・老衰のような形で全身が弱っていく
・老衰と違って、衰弱のペースは早い
・余命6ヶ月 か、もっと早く か

母は分かっていなかった
自分の身体がどういう状態なのか
今後どうなっていくのか
分からない、というか
受け入れたくない、というか

去年の秋に初めて診断が下った時も
「がんもどきよ。」と言った
(がんもどきって!おでんのタネかよ!
それなのに、
「ママ、3年前に吐血したし
転移してるだろうし
切っても手遅れだから…」とも言った

分かっていても
受け入れたくないよね
まだ生きていたいよね
まだやり残したことがあるなら
悔いばかりが残るよね

私も分かっているようで
分かっていない
受け止めきれない
先は長くないのだろうと
分かっていたつもりでも
医者に「6ヶ月」と言われ
心と身体がバラバラになるのを感じた

桜を一緒に見ることが
出来ないかもしれない
紅白も
紅葉も
見れないかもしれない

悔いしか残らない、今のところ
生きていてほしいと思うなら
手術の説得をすればよかった
具合が悪いって言っていた頃
早めの診察を勧めればよかった
温泉旅行したいって言った時
プレゼントしてあげればよかった
美味しいものもっと食べればよかった
孫の顔を見せてあげたかった
あの時、生まれて来なければ
よかったなんて酷いことを
言わなければよかった

テレビ

昨日、我が家に
43インチのテレビが届いた
Panasonicの4Kテレビ
母念願のBSアンテナも立てた
韓流ドラマや映画を観るらしい

私はテレビを観ない
元々はテレビっ子だったが
3.11の震災から
テレビを観るのが怖くなり
代わりにPodcast
ラジオを聴くのが習慣となっている

ラジオは良い
視覚を奪われないで済むから
ながら作業にうってつけだ
そして聴覚からの情報だけで
五感を刺激される
1人ラジオを聴きながら
くすりと笑ったり
さめざめと泣いてしまうことがある
(悩み相談番組の時とかに)

テレビにも見応えのある番組が
あるのはよく分かっている
ただ、観るともなしに
日がな一日テレビの前で
ぼーっとしている姿は
少し悲しい気持ちになる

その位しか
娯楽がないのだろうな

引っ越して以来
母は外出していない
近くの神社のツツジが見頃だよ
と伝えても出掛ける意欲には
結び付かない

外出をしなければ
化粧することも
オシャレな服に着替えることもない

オシャレ大好き人間で
部屋中に素敵な服が
溢れかえっているのに
きらびやかなジュエリーや
色とりどりのコスメが
箱いっぱいにあるのに

どうするの?コレ、全部
形見になるの?
こんなに沢山あっても
私、使いこなせないよ
昔みたいに
「このブラウスに
このスカート履いて
ペディキュアして
サンダル履いて
バッグ持って
フープのピアス付けたら
ほら、カッコイイ!
イタリアのマダムみたい!」
とか言ってコーディネートしてよ

ゆるゆるのガーゼのパジャマばっか
着てないでさ
テレビの音が大き過ぎるんだわ
余計に耳が遠くなってるでしょ

さみしいよ
テレビしか
もう残りの時間を
費やすものがないなんて

無題

してもらって当たり前。という態度は、大病しても取っちゃ駄目だ。どんな時も、どんな事にも、ありがとう。助かります。って言える人でいよう。自分のためにも、周りの人にも気持ちよい人間でありたい。どんなに辛くても、その辛さに浸っていたらますます辛くなる。感謝してればいい表情で居られる。

インターネット

27日に引っ越して以来、ようやく我が家にインターネットが開通した。嬉しいなぁ。radikoが聴ける。YouTubeが観れる。買い物サイトが見れる。わざわざ機内モードにしなくて済む。