無題

一昨日と昨日と
私が一泊二日で旅行していた間
宏ちゃんはまたうちに泊まった。
(なぜ泊まりに来るのだろう
(母に線香とお供えをあげるため?
(母と過ごした部屋で思い出に浸るため?
(生活費、少しは出してほしい。

旅行のお土産があることを伝えると
とても嬉しそうに、またうちに来た。

お昼ごはんを食べながら
土産話をして、30分そこそこで
私は席を離れた。

お骨をどうするか
この家をどうするか
母の持ち物をどうするか

ずっと悩んでいるのだけれど
相談しても
「思うようにすればいい」とだけ言う

母は墓に入りたくない、
ハワイの綺麗な海に撒いてほしい
と言っていたので
そのようにする、と伝えると
横浜や川崎にある共同墓地の話を
ウダウダとし始めて
胸糞が悪くなった。

引っ越すにしても
膨大な遺品整理を全部私に任せて
(好きなようにして、と言いながら
コレは高く売れる
アレは買ったばかり
ソレはまだ使える
と、ウダウダ言う
私は極力モノを増やしたくない
1人で充分暮らせるモノを既に持っている
処分しなければいけない
モノを手放さなくてはいけない苦しみを
人に押し付けておいて
勝手に口挟んでんじゃねぇよ

私は、結局のところ、
宏ちゃんを恨んでいるのだ。

お前が一緒に居ながら…
お前と一緒に居たせいで…

そんな事を言っても仕方ないから
言わない
本人が一番そう後悔しているだろうから
言わない

宏ちゃんは、決して、家族ではない
母の恋人だった人だ
今はもう、母はいない
家族はもういない

私は冷たい人間なのだろうか